胎内星まつり2023 に行ってきた

誘惑に負け、胎内星まつりに参加してきました。4年ぶりの開催、自分は人生初の星まつり参加。

夜行バスで新潟まで運んでもらい、そこからレンタカーで1時間。家から会場までちょうど9時間かかりました。

暑い。。。

まじで超暑かった。。。

ブース紹介

KYOEI村

ZWO-KYOEIブース
AM3やAM5、FF鏡筒シリーズ、2600MC-DUOなどが並ぶ。

AM3 + ASIAIR Mini + ASI2600MC DUO

話題の "Seestar"

ZWOのFFシリーズは初めて現物を見ましたが、想像以上にデザインはかっこいいという印象でした。

Seestarはご覧の通り超コンパクト。現在地把握、アライメントから撮影までスムーズで、お気楽観望にはとても良いなと思いました。

タカハシ村

最新プローセルアイピース "TPL" と ε-130D エクステンダー

タカハシブースには主に工場の方々がいらしていました。

赤道儀はEM-11 T3 とEM-200 T3。鏡筒はTOA-130、FC-100DZ、ε-130D + x1.5 Ext。

LEアイピース (旧製品)とTPLアイピースを見比べましたが、ぱっと見そんなに違いは分かりませんでした。。。(周辺像に注目すると、LEの方が収差による色味が強く出るようです。)
LEもTPLも素晴らしい結像性能です。

 

ビクセン

A80Mf経緯台、SD103S、VSD90SSなどが展示されていました。セレストロン鏡筒も。

K-ASTEC、TOMITA村

九州から遠路はるばるお疲れ様です。

TOMITAさんでは目玉のPlanewave社の経緯台と鏡筒の展示、賞月観星製品、ASTROLABE社製品などの販売がありました。

モータードライブ直結型の経緯台は、最高速度50°/secという超高速な動きをするので、感覚がバグります。それでいて超静か。

Planewave 社の経緯台と鏡筒。これ全部で500万ほど。

K-ASTECさんは、最近の新機材の展示。軽量化・見た目の美しさ・加工精度が徹底されており、どれもこれもお金があったら欲しくなるような製品ばかり。

成澤さんが動画内で絶賛していたポラリエ用片持ちフォーク。

P-2の新型ハーモニックドライブ改造
鏡筒にはEAF用ハーフクラッチも。

ゴニオ式赤道儀とレボルビング装置。
SVBONY村

SVBONYの鏡筒たち

ぼすけさんや、twitterでお世話になっている皆様とはここで巡り会いました。

SVBONYの鏡筒、フォーカサー含め想像以上にしっかりした造りでした。

SS-ONE村

SS-ONE Auto Guider EQMOD

Adventure-GTiをリモコン制御できるのはすごく良いです。個人的に無線接続にかなり抵抗があるので、こういう製品はとてもありがたいです。

 

QHY村

中国から遠路はるばるお疲れ様です。最新機材を色々と見せてくれました。

QHY 新型のフォーカサー

青いツマミを回すと手動で微動ができます (ただし、ステッピングモーターの基本ステップ刻み)。
Type C 経由でNINAで制御可能。ハンドコントローラ別売り。必要に応じて12 V給電もできるようになっています。

QHY 1920

ピクセルサイズ 12 µmのモノクロAPS-Cセンサーです。お値段なんと160万円以上。研究機関用への提供がメインだそうですが、とても興味深いセンサーです。

夜間、20 fpsで北アメリカ星雲が映ってしまうほどの低ノイズ且つ超高感度 (なお、レンズはf0.95)。先日のペルセ流星観測でも大いに活躍したそうです。人工衛星がビュンビュン飛び交っているのを確認できます。

 

UniStellar村

eVscopeの会社です。
EVFがないタイプの "eQuinox 2と、EVFありの高額モデル "eVscope 2" が展示されていました。メーカーの広告通り、EVFで覗く星は眼視した時に近いものがありました。

両者の価格差は20万ほどありますが、EVF付きの後者の方がよく売れているらしいです。実際に覗いてみるとなるほど納得。後者の方が圧倒的に臨場感があります。(写真撮り忘れた)

 

その他いろいろ

五藤製、太陽光の可視光スペクトルが観察できる望遠鏡

某雑誌の裏表紙によく載っている、SHOWA製の赤道儀

覗くとワープしてしまうNikonのWX双眼鏡

夜の胎内

その他、SIGHTRONブースではまちなかさんのオリジナル赤道儀や新発売の経緯台、SWATブースでは話題の "スワッティ" が注目を集めていましたね。ビノテクさんでは銀メッキの効果の有無など、ニッチな裏話を聞かせていただきました。

その他いろいろなブースがありましたが、写真撮り忘れたりで、ここでは紹介しきれませんでした。。。

戦利品

胎内星祭り2023で購入・いただいたもの

双眼鏡は賞月観星のPLEASING 8x25。EDでない方のものです。オークションで定価の半額ほどで競り落としました*1。家にある他の双眼鏡とも比較しましたが、コントラストが段違い。一軍機材確定です \(^^)/

 

最後に

今回の星祭りでは、普段訪れる機会の少ないショップの様々な製品を見る中で最近のトレンドを把握することができ、とても勉強になりました。夜の天気もまあまあ晴れたので、各社の望遠鏡を見比べながら星空を楽しむこともできました。

そして何より、普段SNS上や暗闇でしかお話しする機会がない我々天文民にとって、お日様の元で輪を広げることができるのは星祭りの醍醐味だと感じました。

現地でお話ししてくださった皆様、ありがとうございました!

*1:出品者のTOMITAさん、落札価格を聞いて思わず「安すぎだよ。。。」と嘆いておられました。すみません... 。大事に使わせていただきます !

内房の旅

高校の友人たち3人と1泊2日の内房の旅に行ってきました。

今回は、写真のお供としてD810Aと旧サンヨン、大三元14-24 f2.8をセレクト。

 

川崎集合でレンタカーを借り、アクアライン経由で内房へ。

 

はちみつ工房

君津市にある「はちみつ工房」

5種類のハチミツを試飲させていただいた。そばの花由来のハチミツはほぼ黒蜜、カラスザンショウはスパイシーな味。花の種類によって5者5様の風味があり、ハチミツの世界の奥深さに触れた。

床もハニカムタイルだったらしい (今気づいた)。

 

館山城

内部は南総里見八犬伝に関する博物館になっている。

八犬伝は朝ドラの「らんまん」でも登場するので、せっかくなので読んでみるのもいいかもしれない。

館山城

館山城展望台からの景色
沖ノ島

館山市の西側に突き出た、陸続きの島です。ここでは夕日を見ました。

夕日で輝く波しぶき

友人たち3人のシルエット

野島崎灯台

野島崎灯台からの一望

水墨画のような海岸

野島崎灯台は潮風が凄まじく、メガネもレンズも真っ白になった。

海岸の形状が内房・外房の砂浜とは大きく異なり、岩場が目立つ。地層も斜めに入っているものが多かったので、隆起によって海のそこの硬い岩盤が持ち上がって形成されたらしい。この辺り、調べてみると面白そうだ。

富山 (とみさん)

千葉県にある標高340mほどの山の名前である。

北峰は通行止めで入れないと勘違いし、南峰にだけ上って下山してしまった。後から調べてわかったが、北峰の景色の方がよかったらしい。。もったいない。

ちなみに、南峰は写真のような廃墟だった。

かかった時間は、往復で2時間弱。これはまたリベンジしないとかな。。。

勝山寮

母校の寮である。年に一度、4泊5日の臨海合宿がここで行われ、神伝流の日本古式泳法を習得する。最終日には3kmの遠泳を行い、沖へ出て隣の浜までみんなで泳ぐ。

sites.google.com

なんか楽しそうな行事のように書かれているが、途中何度か死ぬんじゃないかと思ったくらいきつかった記憶がある。師範たちの指導も厳しかった。ただ、友人たちと仲が深まり、精神的にも成長がある行事であった。

玄関

師範たちが乗る和船

当時宿泊した大部屋

寮からの景色
思えば空に星を探す習慣は、ここで友人と天の川を見たあの日から始まったのかもしれない。

2019年に直撃した台風によって、この施設も甚大な被害を受けた。管理人さんによると、窓ガラスは全て割れ、畳は腐り、フローリングは捲れ上がっていたらしい。さらにコロナで行事が中止され、先代の管理人が若くして亡くなったために手入れが行き届いておらず、中庭の植物も荒れ放題だったとか。

それを今の管理人さんが整備してくださり、無事今年毎年恒例の行事を復活させてくださった。

実に7年ぶりにここを訪れたわけだが、昨日のことのように当時の記憶が蘇った。

また利用したい。

D810Aと旧サンヨンを片手に。

最近、Nikon の旧サンヨンこと "AI AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED" と出かけることが多い。対するボディは、個人的に初めての高画素機であるD810A。

 

以前から、APS-C機と300mm f4で風景を撮影するにはやや画角がきついなと思っていたので、今回の組み合わせはすごく自分にフィットしている感がある。これまで、50mm, 85mm, 135mmなどさまざまな単焦点レンズ試してきたが、これが一番好みかもしれない。

入道雲

富士山頂、見えてます

都電荒川線 高戸橋
(なんとしても "東京サクラなんちゃら" とは呼ばない)

都電荒川線 面影橋

地元民のメインストリート

面影橋付近の甘泉園にて。

今回の作例では、全てホワイトバランスはAutoで撮影しています。

D810Aは、ノーマルのカメラと比較して赤外線領域が赤く写るよう設計されていますが、普段使いでも十分使えますよ。

 

"天体写真でしか使わない" はもったいない。

ベガと、その周辺 (202307-山梨育樹祭記念広場遠征)

先日の山梨育樹祭記念広場で撮影した星野写真の2枚目です。

 

夏に遠征したらまず誰しもが見るであろうこと座のベガ。ただ、その強烈な明るさゆえにカメラを向ける人はあまり多くないのではないでしょうか。

ということで、や座と同様なんとなーく撮影しました。露光時間もわずか15分。

ベガ
Lens: AI AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED (光軸不良品)
Camera: D810A
Mount: TAKAHASHI P-2S (AMD-1NC)
Exposure: ISO 640 / SS 180 sec × 5
Filter: 自作十字クロス

フードにつけたテグス製の十字クロスが撓んでいたのか、ベガの光条が割れてしまいました。残念。次回は定期的に締めなおします。

星座線入れてみた

初めはベガを中心に据えた構図で撮影しようと思っていたのですが、導入途中カメラのファインダーをのぞいているときに星の集まりが見えたので、それも含めるような構図に急遽変更しました (写真右下)。

 

後ほど研究室の観望会に参加して知ったのですが、実はこの領域、眼視ではよく観望される "二重星エリア" のようです。

こと座のダブルダブルスター (こと座 ε 星)

この写真ではただの2重星にしか見えませんが、眼視機材で強拡大するとそれぞれの星がさらに重星になっており、全体で4重星となっていることを確認できます。自分の場合、FOA-60QとPENTAXのSMC XL 5.2mmとの組み合わせで、それぞれの重星を分離して観察することができました。ただ、シーイングが良い日でないと分離するのは難しいかもしれません。

こと座 ζ 星

これも二重星。4等星と5等星らしいですが、これは眼視でもかなり地味。。

こと座 δ 星

こちらも二重星。明るい方でも4~5等星 (変光星) なのでやや暗めですが、眼視ではこのあたりに星が集まっているのがわかります。別に星団とかではないようですが、キラキラして綺麗です。 ζ 星よりは見甲斐があります。

 

巷では、星雲ではなく星だけをメインに撮影した写真を「地味天」と呼んでいたりしますが、個人的には以前から魅力を感じていました。今回も、地味天撮影によって3つも自分の知らない天体に触れ、眼視の楽しみもより一層増しました。

や座 (202307-山梨育樹祭記念広場遠征)

先日の山梨育樹祭記念広場で撮影した星野写真です。

今回はP-2Sの動作確認とレンズの星像確認がメインだったので、あまり撮影リストを考えずに遠征に臨みました。

まずは "や座" 。

2023/7/18 @山梨育樹祭記念広場
Lens: AI AF-S Nikkor 300mm f/4D IF-ED (光軸不良品)
Camera: D810A
Mount: TAKAHASHI P-2S (AMD-1NC)
Exposure: ISO 640 / SS 180 sec × 5
Filter: 自作十字クロス


毎回双眼鏡で眺めていて「いい形しているなぁ」と思っていたので、撮影してみました。

天の川領域のため微光星が多く、M71球状星団もあるので結構賑やかです。

星座線入れてみました。

そして、これを撮影している間に赤道儀のモーターに不具合が生じ、意図せず次のような写真が撮れました。

途中でモーター止まった、の図

これはこれで、星の色や星座の形、球状星団の場所などがわかって面白いですね。

これに対し、twitter上では星屑BBさんより次のようなコメントをいただきました。

このように星を流して写す手法は、微光星が邪魔になってしまう星座写真にはやはり有効な手段なのでしょうね。次回以降の撮影にも積極的に取り入れてみたいと思います。

7/17~18 山梨育樹祭記念広場

山梨県の河口湖ICからそう遠くないところにある、山梨育樹祭記念広場に行ってきました。

私は電車で待ち合わせ場所まで赴き、だぼさんと合流。

道すがら、先に現地にいらしていたAramisさんより「全天曇りました」との連絡が。

 

GPVとWindyの予報もあまり良くなく、今夜は期待薄かなと思っていましたが、みなさんとお話ししているうちに晴れ間が増えてきました。

晴れてきた

ささっと機材を立ち上げて。。。
と思ったら、新しく導入したP-2Sの追尾が始まらない。

クラッチはしっかり噛んでいるので、まさかモーター? とりあえずギアカバーを分解して歯車の動きを確認。
電源を4回くらい入れ直したら無事追尾が開始されました。一安心。。。

とりあえず撮影開始。

だぼさんは巨砲TOA-130、AramisさんはRST-135が2台にRedCatとSharpStarのZ4。みなさん個性的な機材展開。

私は新規導入したP-2Sに載せたNikonの旧サンヨンを夜空へ向けます。

 

機材の面倒を見つつ、星景写真撮ったり、鍋焼きうどんを食べたり。

北斗七星もあっという間に沈んでいきます。

 

だぼさんの撮影が落ち着いたところで、FSQ-85EDで眼視させてもらいました。

TAKでのぞいたアルビレオと、QBP越しに見る網状星雲がとても印象的でした。

 

私の撮影の方はというと、、、

  • レンズの光軸がズレている
  • 薄明1時間前にモーターが突如停止。

という、現地ではどうしようもない事態が立て続けに起こりました。

ただ、シャッターだけは諦めず切り続けたので、意外な発見があったり、思いもよらない成果 (?) が挙がったりしました。成果に関してはまたそのうち。

 

今回、遠征でご一緒してくださっただぼさんとAramisさん、ありがとうございました!!

 

【追記】
Aramisさんが遠征時の動画をyoutubeにアップしてくださいました!
遠征が動画として記録に残ると大変嬉しいですね。何度でも当時の思い出に浸れそうです。

aramister.blog.fc2.com

新しい仲間がやってきた [高橋製作所 P-2S 赤道儀]

なかなか星空の撮影に行けていませんが、機材が増えました。

タカハシのP-2S赤道儀です。ワンオーナー品で、フル装備の逸品。

赤緯赤経クランプはカスタマイズしました。

P-2S赤道儀

1991年、前オーナーはアトム横浜店で複数台のP-2Sの中から、シリアルナンバーが気に入った当個体を購入されたのだそう。昔はタカハシの在庫赤道儀が山積みだったらしいです。今では考えられないですね^^;;

塗装状態、クランプの動きを見ても、非常に大切に使われていたことがよくわかります。

末長く使わせていただきます。

 

モーターはK-ASTECのAMD-1NCを取り付けています。暗視照明付きで、給電はUSB 5V。消費電力は~0.3 W。その辺のモバイルバッテリーでも、数日間は余裕で駆動できます。

モーターのギアはハーフクラッチになっており、クラッチと歯車の間にウェーブワッシャーが組み込まれています。これによって、「追尾動作中でもハンドルを回せば微動ができる」という動作を可能にしています。

k-astec.cocolog-nifty.com

非常に精巧に作り込まれており、特にクラッチはいつまでも触っていたくなる、滑らかな動きをしています。

(AMD-1NCを使っている方がこの写真を見ると、「クラッチの表裏が逆!」と怒られそうですが、これは故意でやっています。ギアカバー面とクラッチつまみ部までの距離を長くするためです。ただし、その場合は固定用ビスを外したほうが良いです。)

 

さぁて、これで我が家の赤道儀は3台になってしまいました。

遠征地での機材セットアップがさらに大変になりそうです。