2024年を振り返って
2024年、今年は自分が修士2年生であったこともあり、研究に没頭した一年であったと思います。
絶賛修士論文を執筆中ですが、簡単に今年のイベントを振り返ります。
2月: 研究室の人工衛星運用の開始
3月: 朝霧高原にて Pons Brooks 彗星撮影
8月: Small Satellite Conference @Utah State University, USA にて、ポスター発表
9月: 乗鞍チャレンジ失敗 (?)、日本天文学会 @ 関西学院大学 でポスター発表
10月: 妙義山遠征, 紫金山アトラス彗星到来
11月: 天城高原 (敗退)
趣味のほう
今年のビッグイベントは、なんといっても紫金山アトラス彗星ですね。
前回NEOWISE彗星が来た時に遠征しなかったことを非常に後悔していたので、この教訓を活かして1日目は自宅から、2日目は芦ノ湖から彗星観望・撮影を行うことができました。両日ともに見え方は全然違いましたが、都会のビル群と共存する彗星も、暗い空で見る長い尾をたなびいた彗星も、どちらも大変見ごたえがありました。
直焦点撮影に関しては、昨年末ε-160EDを購入してからまだ合計30 時間程度しか露光できていないというのが現状。もっと頑張りたいですね。。。
来年は5月以降半年~1年程度、広島で研修があるため、2月末に修論が終わったら晴れのタイミングを見計らって、できる限り遠征したいと思います。高校時代や大学の友人、家族と遊びに行く時間も欲しいので、2月末 ~ 3月は多忙になるかな。うれしい意味で。
研究のほう
自分の所属する研究室では、X線で天体を観測する超小型衛星を開発しており、2024年2月からその運用 *1 が本格的に開始し、目まぐるしい日々が始まりました。
自分は衛星の姿勢計算や軌道計算などをメインで担っており、特に運用を開始した当初は予期しないトラブルばかりでとても大変でした。多忙すぎて、4回くらい過呼吸で倒れたりしましたね(笑)。しかし、それ以上にこの1年間で自分はだいぶ成長させてもらったと感じています。ありがたいことに、今年は海外の学会にまで参加させていただいて、さまざまな人たちと議論する中で小型衛星業界が今非常に白熱していることを強烈に実感し、大変刺激を受けました。
自分は今修士2年生で、来年はこの分野から離れてしまうので大変名残惜しいですが、就職後もトレンドを追いたいと考えています。とりあえず、修論頑張ってまとめます。
最後に
X上など、今年も様々な方々にお世話になりました。来年も、遠征地などでお会いした時はぜひよろしくお願いいたします!

*1:衛星で取得したデータの確認や、日々の衛星の健康状態のチェック、次に衛星に送る支持の決定などを行うこと
想像以上に手強かった ハート星雲
少し過去の話になってしまいましたが、10/1 ~ 2 にかけて行ってきた妙義山遠征の成果。
その晩撮影した2つ目の対象、カシオペヤ座のハート星雲です。

Telescope: Takahashi ε-160ED (530mm f3.3)
Camera: Nikon D810A
Mount: Takahashi 90S (AMD-2N)
Exposure: ISO 400 / SS 180 sec × 70 , Total 3 hour 30 min
Process: Stella Image9, Photoshop 2024, Photoshop Lr
ハート星雲、自分にとっては今回が初めての撮影でした。
撮影中、カメラの液晶画面で確認できる程度に星雲が写っていたので安心しきっていましたが、画像処理してみると思っていたより淡く、微光星が多いのでかなり苦戦しました。周辺に明るい星も少なく、赤一辺倒になりがちなのもこの対象の難しいところです。
ぱっと見の印象だとやはり赤い散光星雲の部分が目立ちますが、じっくり眺めると、大小さまざまな複雑な暗黒星雲や散開星団、反射星雲など、多くの天体が混在していることがわかります。拡大して楽しめるのは、イプシロンの高い分解能とD810Aの画素数の恩恵です。購入してから早くも1年が経つこの鏡筒ですが、とりあえず今年来年あたりはメジャー対象を順次攻略していこうと考えています。次回は胎児星雲, M87 あたりを狙おうかな。天気と修論の進捗次第ですね、頑張ります。
紫金山-アトラス彗星、見に行ってきました !
話題沸騰中の紫金山・アトラス彗星 (C/2023 A3) 、自分も見てきました。
10月13日 都内からの観察
10/12 に先行して観測をしていた方々がSNSにあげていた写真を見ると、夕焼けの明かりが残る中でも尾を引いているのが見られていたので、都内からでも十分見れるのではないかと推測。10/13 は都内の自宅から、家族と共にのんびり観測。
大変幸いなことに、自宅マンションから西側は富士山、南アルプスが見渡せるほどに視界が開けています。この日は快晴予報だったので、期待を胸に夕暮れを眺めながら撮影機材をセット。

17:40ごろ、うっすらと尾を引いた彗星のコマを双眼鏡*1で確認。
18:00 を過ぎると、都心の強烈な光害に負けじと彗星の尾が肉眼でもうっすら見えてきました。

Lens: AF-S Nikkor 70-200mm f2.8G ED VR II
Camera: D810A
Setting: ISO 250, 70mm, f4.0, ss 5.0 sec
肉眼ではぼんやりとしたサーチライトのように見えましたね。普段天文には全く興味を示さない母と弟は探すのにかなり苦戦していましたが、「中野の三角のビル (中野サンプラザ) のすぐ上」と説明したらすぐにわかってくれました。
都内からはオリオン座の三つ星ですら見えるかどうか。肉眼で尾が見れるというのがどれだけすごいことなのかがよくわかります。大彗星、恐るべし。
18:30ごろにはレイリー散乱によって彗星の色付きが黄色っぽくなり、あまり写真映えしなくなってきました。
コマが雲に隠れたことを双眼鏡で確認し、この日の観測は終了。
10月14日 郊外からの観察
10/14 は静岡県の芦ノ湖スカイラインからチャレンジ。
都内から小田急線に乗って小田原まで出て、そこからレンタカーを借りれば合計3時間程度で到着。電車内で時間を有効活用しながら移動できるので、体力・精神・金銭的にも大変優しい遠征です。

夕日が沈む頃には、駐車場に20名以上の方々が。
前日の都内からの観察時とは全く違う姿で、肉眼でも彗星のながーい尾がたなびいていることを確認。双眼鏡で見ると彗星のコアやシルクのような美しい尾をより一層楽しめました。彗星の尾の長さは、ざっと人差し指くらいはあったように思います。

Lens: AF-S Nikkor 70-200mm f2.8G ED VR II
Camera: D810A
Setting: ISO 1600, 70mm, f3.5, ss 1.6 sec
現地に集まった皆さんとは気さくにお話ししたり、双眼鏡を覗いていただいたりと、和やかな時間を過ごしました。べつに自分が特別なわけではありませんが、「彗星を初めて見ました!」「綺麗で感動した!」という声をいただくと、こちらも言葉にできない喜びで心が満たされました。
彗星観測を通じて、皆さんとその楽しさや感動を分かち合えてよかったです。大彗星さまさまですね。

Lens: AF-S Nikkor 70-200mm f2.8G ED VR II
Camera: D810A
Setting: ISO 1600, 200mm, f3.5, ss 3 sec,
90枚 スタック, 右はモノクロ化, 階調反転, 強調処理を行ったもの
固定撮影で短時間露光したものを多数枚スタックしてみました。撮影を開始した時にはかなり雲がかかっていたので期待していなかったのですが、予想に反してアンチテイルまでしっかり写ってくれていました。
後記
2日連続で彗星を観測してきました。両日共に天気に恵まれて観測できたことに感謝しかありません。
8月ごろでしたか、「この彗星は期待するほど明るくならんぞ」という論文が出たりして界隈は一時騒然としましたが、結果的には我々の期待を遥かに超えた彗星へと成長してくれました。現在の観測技術を持ってしても予測困難な宇宙。
改めて、天文学って面白いなぁ、天体観測を趣味としていてよかったなぁと痛感した2日間でした。
今後は彗星の高度も上がって観測はしやすくなると思うので、11月上旬の新月期にまた会えるといいな、なんて思っています。
*1:2023年の胎内星祭りのオークションで落札した賞月観星のPLEASING 8x25 I型。コンパクトかつクリアな視界で、大変重宝しています。
サドル付近の星雲たち
その晩撮影した1つ目の対象、サドル付近の散光星雲や暗黒星雲です。

Telescope: Takahashi ε-160ED (530mm f3.3)
Camera: Nikon D810A
Mount: Takahashi 90S (AMD-2N)
Exposure: ISO 400 / SS 180 sec × 90 , Total 4 hour 30 min
Process: Stella Image9, Photoshop 2024, Photoshop Lr
サドル (Sadr) は 2.2 等の黄色超巨星 (表面温度は 5800K, 太陽より少し低い) 。はくちょう座の中で現在2番目に明るい星であるにもかかわらず、ガンマ星とされています。*1
時々青い色をしたサドルの写真を見かけますが、上記の通りサドルの色は白 ~ 黄色っぽくなるはずです。実際に画像処理してみると、この領域はかなり星雲の赤が強く、背景をグレーに合わせようとすると星が青系によりがちなのかもしれないと感じました。今回は暗黒星雲を基準にカラーバランス調整をしましたが、この色合いが正しいのかどうかは正直あまり自信がないです...
前回この領域を撮影したのは約5年前。当時はカメラレンズでノータッチガイドで挑んでいました。この写真は当時天文部のメンバーと浄土平チャレンジをした時に撮影したものです。懐かしい。
今回撮影した写真と見比べると、さすがに多少なりとも自分の成長を感じます。

Lens: AF-S Nikkor 300mm F4D IF-ED (300mm f4.0)
Camera: Canon EOS Kiss X5 (SEO-SP3)
Mount: Vixen AP mount
また行きたいなぁ、浄土平。
2024/10/01 群馬県妙義山遠征
世間で紫金山-アトラス彗星の接近が騒がれる中、 群馬県の妙義山まで星野撮影遠征に行ってきました。
一晩中よく晴れて、平日にもかかわらずたくさんの同業者の方々がいらっしゃいました。

奥が P-2Sとカメラレンズ、手前が 90S赤道儀とε-160ED。
今回利用した駐車場は、地面が土だったので沈み込みが結構激しかったです。
特に、P-2 ではセッティング時から極軸がじわじわずれていたようで、赤緯方向への星の流れがかなり顕著に出てしまい、2 hour ほどのデータを無駄にしました。今回一番の教訓です。

Lens: AF-S Nikkor 14-24 mm f2.8G ED
Camera: Nikon D500
Exposure: ISO 50 / SS 1800 sec
あっという間に冬の星座たちが昇ってきます。
上の写真は30分の一枚撮りで、画面中央に映るのは最近衝を迎えたばかりの木星です。
最近の彗星動向 (紫金山-アトラス彗星)
記事を書いている現在、彗星は地球から見てちょうど太陽方面を進行中で、明るさは数週間前の予想を遥かに上回る -3.3 等級という報告が出ています。

予想ライトカーブ (オレンジ) を遥かに上ぶれる結果に。。。
また、太陽観測衛星であるSOHO衛星でもCME (Coronal Mass Ejection; コロナ質量放出) をモニタするコロナグラフ検出器の視野内に彗星が入ってきており、見事な尾を見せてくれています。
11年周期の太陽活動の極大付近の時期にあることもあり、今後の動きに注目です。

後半戦、日本でまた見られるようになるときが楽しみです。
乗鞍チャレンジ 2024
最近ある天文同好会に仲間入りさせていただきました。
その同好会の毎年恒例の一大イベント、乗鞍合宿。
今年は 8/30, 31, 9/1 で予定されていたのですが、みなさんご存知の通り、台風10号サンサンの影響で、関東地区は近年稀に見る豪雨に見舞われ、団体での合宿はあえなく中止となってしまいました。
そんな中、遠路はるばる準備をしていた諦めの悪い (笑) 方々が数名おり、ダメ元で突撃するというので、自分も同行させていただきました。

この日は中央道が豪雨で閉鎖されたため、溢れた車列による渋滞をくらいつつ、一旦東京を通って関越道から松本へ向かいます。
そんな中、横川 --> 軽井沢間の碓氷峠でトンネルリニューアル工事が行われていた影響で、1時間の渋滞。碓氷峠に抜けた時点で、時間は14時過ぎ。
はい、終わりです (笑)
乗鞍はマイカー規制のため、麓にある乗鞍観光センターから山頂付近の畳平に向かう際は、バスまたはタクシーに乗る必要があります。バスの最終便の時刻は15:30。タクシーの最終は16:30。これ以降は道路のゲートが閉められるので、上へ登ることはできません。
乗鞍チャレンジ人生3回目。初めて畳平へ行けないという辛酸を舐めました。
仕方ないので、遅めの昼食を取ったり、

松本城を見たり。

あとは、観光センター隣のゆけむり温泉に入ったり。(写真撮るの忘れた)
ちなみに、私は乗鞍行くときは毎度この温泉に欠かさず入っています。大好きな温泉です。
この時点で、すでに翌日の乗鞍観光センター発 畳平行きのバスは台風接近に伴う計画運休が予定されていたので、当初の予定を変更して、岐阜県側から畳平へ向かうバスがでいている ほおのき平駐車場 へ。
その途中、少し回り道をして、えげつない無数のヘアピンカーブを走り抜けて中の湯付近を経由。
車窓からふと空を見上げると、ポツポツと星が見えるではありませんか!
近くの駐車場に車を停め、すかさず撮影。

約30分ほど、雲間から星がチラチラ見える状態が続き、ついには曇ってしまいました。やはり山の天気は難しい。。。
その日は、ほおのき平で夜を明かしました。
翌朝は、なんだかんだ色々あり、20分ほど畳平に行ってそのままバスでとんぼ返りしてきました。畳平はホワイトアウトしており、50メートル先は見えないというくらいの悪天候でした。
バスに乗る1時間くらい前までは青空が広がっていて、遠くの山には虹もかかっていたのですがね。。。


帰り道、何度となく豪雨に見舞われつつ、20時ごろには帰宅。
まとめ
今回の旅はかなり行き当たりばったりな旅程でしたが、初めての同好会の参加で他の皆さんと色々お話しできましたし、なんだかんだ非常に充実したものとなりました。
来年もチャレンジしようと思います。