2023/04/09 京都 金銀閣と大文字山

京都へはこれまでに3回訪れているが、実は金閣銀閣も行ったことがなかった。なんなら二条城も行ったことがない。

 

13:00 愛宕山下山後、金閣寺へ。

つい数ヶ月前までは金閣も人がまばらだったと聞いていたが、今回はごった返していた。そして悲しいことに、ほとんど日本語が聞こえない。。。

インバウンドを強く意識した。

噂通り、金閣は「あ、金だね。」という感覚しか抱かなかった。周りの外国人がノリノリなので、逆に萎えてしまった。うーん。。。

金閣は早々に撤退して、銀閣へ。営業終了時刻17:00までというのはいささか早すぎはしないかと思いつつ、道を急ぐ。

金閣と比べて、銀閣は明らかに静けさがあった。あと、中国人観光客が明らかに少ない印象を持った (気のせい?)。

園内の立ち入り禁止の立て札に目が留まる。松ぼっくりの形と位置が絶妙すぎる。


銀閣の脇の道から大文字山 (善気山) へ。

既に足は限界。夕食の時間も迫っていたが、根性だけ山の中腹、大の字の場所まで登る。
40分ほどかけ、展望台へ。ここからだと本当に大の字になっているのかはよくわからない。

そういえば、途中天文サークルのグループとすれ違った。どうやら新歓だったらしい。京大のKUALAだったりして*1。新歓で登山をするような天文サークルか。。。最高ですね。即刻入部します。

 

日が沈む前に下山し、南禅寺近くの湯豆腐屋さんへ。

食後は歩いて15分ほどの高台寺へ。高台院 (寧々) が秀吉の菩提を弔って建てた寺らしい。

ここも外人向け施設のようになってしまっていて少し悲しかった。プロジェクションマッピングは必要なのか。。。?

風がなかったので、水面への反射は綺麗でした。

とっくに足の限界は超えていたが、京都から大阪まで電車移動し、そこから寝台特急サンライズに載って帰還。

物心ついた頃から品川駅にこの車両が留置してあったのをよく覚えている。まさか自分が乗る日が来るとは思わなかった。この車両もいつまで運用してくれるのだろうか。

月曜日の朝、東京着。さあ、大学始業じゃ。

*1:調べたら、本当にKUALAさんでした !

2023/04/09 京都 愛宕山

19:00にバイトから帰宅し、22:00に東京駅のバスターミナルへ。

友人二人と夜行バスに乗って向かった先は"京都"。

東京の学生が行く京都というと観光のイメージが強いが、今回の旅の目的は"登山"。

宿泊なし、昼食の時間なしという鬼行程だったが、なんとか乗り切った。膝と股関節が痛い。。。

 

6:20 日の出と共にJR嵯峨嵐山駅

始発バスよりも徒歩の方が早いということで、駅から登山開始。バスなら10分ちょいの距離を、40分ほどかけて歩く。

丸太町通りに朝日が照り返す。

しばらく舗装された道が続く。

麓のお寺。

清滝トンネル

7:00 愛宕山登山開始。メインの山頂の神社への参道ではなく、川沿いの杉林の道を進んでいく。途中からはもはや地図にも載っていない道。不安と期待で胸が騒ぐ。

山の中腹に向かうにつれ、道が悪くなっていく。
幾多もの倒木が行手を阻むが、通れないことはない程度に道は開けていた。探検気分で奥へ進んでいく。

道中に出会った生き物たち。

ウキゴケの仲間?  道中、この付近にのみ密生していた。

ひょっこりワラビ

ぷにぷにきくらげ

沢のヌシ

群生するクヌギタケ

杉苔

機材的な理由で野鳥は撮影していないが、イソヒヨドリ、モズ、ミソサザイ、ヒガラなどとも出会った。

 

山頂付近からは、木々の合間から京都の街を眺めることができた。大きく湾曲しているのは桂川。霞んでいたが、それもまた日本らしくてよき。

京都盆地俯瞰

10:30 山頂の愛宕神社に到着。

快晴の空に映える新緑と神社が美しい。

12:30 正規ルートの参道を使って下山。

13:00 清滝バス停着。

下山を終えて思った。山頂に3000回登頂と書かれた石碑がいくつか見られたが、あれはおかしい。この山道を3000回以上登り降りするのは相当な根性と体力が必要だ。。。

リアソフトフィルター、自作しませんか?

明け方に天の川が昇ってくる季節になってきました。

この季節、カメラの画角に対して対角線上に天の川を配置して星景写真を撮る方が多いと思います。

時には、フィルターを用いて。。。

KenkoのプロソフトンAと、LEE No.3フィルター

そう、このフィルター。

この記事をお読みの方ならきっとご存じでしょうが、広角で星景写真を撮影する際には必須アイテムと言っても過言ではない、「リアソフトフィルター*1」。

そして、リアソフトフィルターといえば、LEEのSOFTシリーズ

こちらの商品は大変人気・需要があったにもかかわらず、いつのまにかショップページから姿を消しています。

 

そのせいもあってか、現在は某フリマサイトなどで大変な高値で取引されています。時には1枚1万円なんて価格も。ちなみに、数年前の正規価格は4000円弱だった模様。

偶然定価以下の値段で入手してしまった自分としては、これらの商品に「SOLD」マークがついていると、大変心が痛みます。

 

ということで今回は代替え案として、予算200円 (税別) でソフトフィルターを自作しましたので紹介します。

格安かつ、10分もあればLEEのフィルターと同等のものが作れる (かもしれない) ので、皆様もよければお試しください。

 

リアフィルターとは

リアフィルターとは、レンズとカメラセンサーの間の空間に取り付けるフィルターです。取り付けの際には、レンズのリアフィルターホルダーを使用したり、粘着テープ等でレンズの枠に固定したりします。

また、一部の機種では、カメラボディにフィルターをはめ込むことができます (リンク貼っておきます)。

yoshimi.ocnk.net

リアソフトフィルターは、後述する「星が放射状に延びる現象」が生じないため、星景写真で大変重宝されるフィルターです。

LEE SOFT No.3
D500 + AF-S Nikkor 14-24mm 1:2.8G ED (14mm / f2.8)

レンズ前面フィルターでの弊害

レンズの前面に取り付けるフィルターの場合、簡単に取り付け・取り外しができるというメリットがありますが、レンズによってフィルター径が異なる場合は取り揃えにコストがかかります。

また、前面フィルターで致命傷となるのが、広角レンズとの併用時に生じる「星が放射状に伸びる現象」です。

例えば、APS-C + 17mmで、KenkoのプロソフトンAを使用して撮影したのが以下の写真。

Kenko プロソフトンA
D7200 + AF-S Nikkor 17-55mm 1:2.8G ED (17mm / f2.8)

センサーが小さいのでわかりにくいですが、左上の明るい星 (デネブ) が楕円になっていることがわかると思います。

このような星伸びは、フルサイズで20mmを下回るような、いわゆる「超広角レンズ」で特に顕著になるという印象があります。

フィルター製作

準備するもの
  1. プラ板
  2. ラッカースプレー (無色透明)

以上です。どちらも100円ショップで入手できます。

 

作成方法
  1. プラ板の下に新聞紙等を敷く
  2. プラ板から0.5~1 mほど離れた場所からラッカースプレーを散布。
  3. 視界にかざしたときに、景色が若干にじんでいるかな?程度のソフト具合になったら完成。 (厳密には、スプレー粒子100粒 / 5mm × 5mm くらいの分布がよさそう)

簡単ですね。作業時間はわずか3分。乾かしの時間も5分あれば十分です。

スプレー散布時のコツは、プラ板にスプレーを吹き付けるのではなく、プラ板の上にスプレー粒子の雲を作るようなイメージで散布すると良いです。

完成したフィルターを斜めから見ると、こんな感じにザラザラして見えます。

 

加工面を触ってみると、ちょうどMOREBLUEの表面塗装 (梨地加工) と似たような感触でした笑

参考になるかはわかりませんが。。。

 

自分は、すでに6枚ほど自作していますが、手作業なので塗装ムラは確実に生じます。ただ、実際に使用するフィルターは直径4cmもあれば十分なので、塗りが安定している部分を選択的に切り取れば全く問題ないです。

むしろ、さまざま強度のフィルターが副産物として生じるため、撮影バリエーションが広がります。

自作フィルターを取り付けた の図
フィルターにゴムを貼り付け、レンズ枠を挟み込むような構造で固定しています。
暗所でも割とスムーズにフィルター着脱が可能。

自作フィルターは、ソフト効果の強度調整は自在ですし、十字線を書き込めば「ソフト&クロスフィルター」なるものも作れるでしょう。

また、簡単・大量・安価に作れるので、紛失しても精神的ダメージが少ないです。

検証

耐久性

水洗い、中性洗剤で洗う、レンズクロスで拭いてみる、を試しましたが、塗装が剥離したり破損したりすることはありませんでした*2

まあ、問題ないでしょう。。。多分。(あくまで自己責任でお願いします~)

実写 (追尾撮影)

LEE No.3のフィルターと、今回自作したフィルターを比較してみました。

こちらの作例では、D810A + AF-S Nikkor 14-24mm 1:2.8G ED、24mm f2.8の設定で追尾撮影しています。

自作フィルター

LEE No.3 フィルター

一見すると、どちらのフィルターで撮影したのか区別できません。これは想像以上のクオリティです。

デネブのみ拡大してみました。

左: 自作フィルター 右: LEE No.3

若干ですが、LEE No.3のほうがソフト効果が強いようです。が、画像全体としてはほとんど差がありません。

14mmで撮影した作例は次の写真です。

自作フィルター (14mm)

これらの作例からも、自作フィルターは十分実用になるということがわかると思います。

注意点

LEEフィルターは厚みが0.1mmであるのに対し、今回使用したプラ板の厚みは0.2mmでした。

そのためレンズによっては、フィルターがリアホルダーに収まらない場合があります。

基本、薄くて透明クリアなプラ系素材であれば、今回紹介した手順でフィルターを作ることが可能だと思うので、使用用途に応じて適した素材を探してみてください。

まとめ

200円で自作できるフィルターを製作・検証しました。いかがだったでしょうか。

ソフト効果の強弱も調整できますし、発想次第ではこれまでになかったようなフィルターも生み出すことができると思います。

本当に簡単に製作できるので、ぜひ一度お試しください。

*1:レンズのセンサー側に取り付けるタイプのフィルター

*2:ただし、擦りすぎて一方向に筋状の傷が無数に入ると、その方向に "ヒゲ" が生じます。強く擦るのは避けましょう。

年度またぎ遠征 (2023/03/31)

題名の通り、年度またぎの3/31~4/1にかけて、高校の同期と山梨県清里へ遠征してきました。

太い月はありましたが、月没から薄明まで1時間以上あったのと、月があるほうが観望には適していると思い、決行しました。

高校同期のLINEグルに遠征の勧誘をしたのは遠征前日でしたが、すぐにフッ軽が3人集結しました。マジで最高(笑)。ありがたい。

出発時のトラブル

遠征時のトラブルは付きものですが、今回はひどかった。

トラブルその1。空前のレンタル予約の取り消し。。。

車はTimesで借りたのですが、時間になって借りようとしたら、なんと予約が取り消しされている。。。

電話で確認すると、「該当車両が事故車扱いになったので予約をキャンセルさせていただきました」とのこと。いやいや、困るてw

おそらくバッテリー切れの類だと思うので仕方ない話ではありますが、それで仮の車両予約がなされてなかったというのが一番の驚きでしたね。

トラブルその2。車の状態がよろしくない。。。

なんだか、電話対応だと埒が明かなかったので、結局ほかの駐車場の車の予約を取り直し。結局、出発時間は予定より1時間遅れました。

そして車に乗り込み、みんな半笑い。そう、窓がえらく汚いのであった(笑)

もはや危険レベルの窓の汚さ

カーシェアの場合洗車は無料でできるのですが、基本乗客が任意で行うものです。そのため、不運が重なると数か月洗車されていないような車にバッティングすることもあるようです。

加えて、給油も乗客の任意なのですが、今回借りた車は借りた時点で10段階中の2しかガソリンが入っていませんでした。給油前にガス欠しちゃいますよ、、、怖すぎ。

トラブルその3。都心のガソリンスタンド、夕方には閉まってしまう問題。。。

出発は21時だったのですが、近所のスタンドが軒並み閉店している。

今回の場合洗車もしてほしかったので有人のスタンドに寄りたかったのですが、調べてみると、早いところだと19時、長くても22時までしかやっていません。。。

そしてようやく高速入り口地点で空いているスタンドを発見したのですが、洗車は15時までとのこと。どうなってんねん(笑)

結局、ガソリンだけ入れて談合坂まで行きましたが、案の定洗車機はなかったので、売店でタオルを買って自分たちで軽く洗車しました。

皆さんも、夜間の東京都心に車でお越しの際はご注意を。

 

遠征地着。観測開始

月明かりがあるうちは、先にお越しになっていた星空案内人の方も交えて、月、M13、M81&82、アルビレオなどを眼視観測で楽しみました。

観測には、ある方からお借りしているFOA-60Q + KASAI EZPと、手持ちのAP赤道儀を使用しました。セットアップまでに10分程度しかかからないので、お手軽観望にはピッタリ。

月を導入中の私 (友人がスマホで撮影)

しかし、まだまだ天体を手動で導入するには腕が足りていないことを痛感しました。本当はもっといろいろな天体を見せてあげたかったのですが。。。精進します(^^;;

現地では、銀河撮影を楽しんでいらっしゃった星空案内人の方とお話できました。

星が何等星まで見えているかをこぐま座を利用して判別する方法や、星空案内人の資格を取得するまでの経緯など、いろいろなお話をしました。月が沈む前には帰られてしまいましたが、とても充実した時間でした^^

 

月没後。お楽しみの時間

本当は始終眼視観測をするつもりでしたが、あまりの天の川の濃さに我慢できず、赤道儀を撮影用に回し、広角レンズでの撮影に切り替えました。

友人たちも、スマホで天の川撮影を楽しんでいたので、時々撮影中の写真を見せつつ、黙々と撮影。成果は以下。

アンタレス~デネブ
2023/4/1 @清里美し森
Lens: AF-S Nikkor 14-24 1:2.8G ED (f2.8)
Camera: D810A
Mount: Vixen AP
Exposure: ISO 800 / SS 120 sec × 4
Filter: 自作フィルター

夏の大三角を横切る天の川
2023/4/1 @清里美し森
Lens: AF-S Nikkor 14-24 1:2.8G ED (f2.8)
Camera: D810A
Mount: Vixen AP
Exposure: ISO 800 / SS 120 sec × 6
Filter: 自作フィルター

遠征後記

ところで、今回の遠征は年度またぎということで、友人のうち2人は社会人、自分は学部生 => 院生 となる節目の日でした。

このような節目を、共に満点の星を眺めながら迎えられるのは、なんだか感慨深いものがあります。

新年度最初の集合写真

このような関係をこれからもずっと大切にしていきたいと、心の底から思ったほしがらすなのでした。

タカハシの ε-130 反射望遠鏡

山場だった卒研発表が終わり、今は残りの卒論を執筆しています。2月中には終わらせたい。。。とはいえ、研究室がしばらく忙しそうなので、遠征はおろか、友人との旅行すら行けるかどうか怪しい。。。

 

そんなこんなで、ぼちぼち部活からも引退する時期が近づいてきているので、3年近く愛用させていただいたε-130に関して、実際に触れてみて感じたこと、経験したことなどを備忘録としてまとめてみました。

中古で安く手に入りやすい鏡筒なので、検討している方への参考になれば幸いです。

[免責] 途中、鏡筒の分解をしている箇所がありますが、あくまで自己責任でお願いします。不安であればメーカーや代理店に問い合わせるのが一番安心です。

 

ε-130 簡単な紹介

ε-130は高橋製作所が1984年9月に製造を開始した天体写真用の鏡筒です。
現行のイプシロンとは少し違う、若干渋い黄色のボディがまた良いです。

ε-130 鏡筒

鏡筒本体は5.5kg、全長は50cmにも満たないくらいの小ぶりなボディですが、至る所にアルマイト処理された鋳物が使用されており、タカハシらしい重厚な造りの鏡筒です。接眼部分は回転装置と一体になっていますが、重いカメラでもしっかり取り付けられます。

ピントが合う位置でもドローチューブが鏡筒内に出っぱることはなく、星像への影響が出ないよう工夫が施されているようです。

90S赤道儀とε-130 鏡筒

ε-130に組み込まれているパーツの多くが1980年代のタカハシに多いブルーグレー(?)塗装なので、当時発売されていたEM-1 , EM-100, 90S赤道儀などと組み合わせると、色に統一感が出て良い具合になります。

鏡筒のスペック

焦点距離:455 mm

口径:130 mm

斜鏡短径:63 mm

F値:3.5

実効F値:4.0

重量:5.5 kg

鏡筒径:166 mm (MT-130や現行のε-130Dと同じ)

こちらより引用しています。タカハシのカタログページの一枚が開きます。

ε-130D (430mm / F 3.3)と比較すると、焦点距離が若干長く、その分F値も大きいです。

 

星像評価

ε-130+デジタル補正レンズの組み合わせで撮影した星像を紹介します。既に販売は終了していますが、旧型イプシロン用のデジタル補正レンズに関してはこちらをご覧ください。

自分がこの鏡筒で撮影してきた中で、光軸が最も合った状態と思われるε-130の星像が次の写真です。

ε-130 + デジタル補正レンズ + D810A

4角の等倍入り抜きも載せておきます。

フルサイズ周辺まで色収差の少ない、とてもシャープな像を結んでくれています。約3600万画素のD810Aでも、微光星が最小で2×2 pixelに収まっています。

ただ、よくご覧いただくとわかると思いますが、4隅で星像の形状が大きく異なっていることがわかると思います。微妙な調整誤差で、星像が上下左右で不均一になってしまうのは、短焦点反射望遠鏡の難しいところかもしれません。これが光軸の調整によるものなのか、スケアリングによるものなのかどうかなどに関しては、いまだに解明できていません。レンズも分解清掃したりしていたので、その影響かもしれません ^^;;

 

フラット画像評価

イプシロンはフラットが合いやすいという意見がありますが、自分は結構フラットで苦戦していました。経験上、LEDのトレース台やPCの画面よりもスカイフラットの方が合いやすいように感じています。

運搬中に主鏡がずれることが多い、というか必ずと言っていいほど光軸はずれるので、反射望遠鏡のフラットは現地で、撮影直後 (直前) に撮るが吉です。

 

それではフラット画像です。フルサイズ機 (D810A) で撮影したものがこちら。

ε-130 + デジタル補正レンズ + D810Aで撮影したフラット画像

ミラーボックスによるケラレが大きいですが、これは一眼レフの宿命なので仕方ないです。周辺は屈折鏡筒と比べてかなり複雑な減光をするので、厳密なフラット補正が必要になります。

 

 

作例

ε-130 + デジタル補正レンズ + D810A
合計露光時間:2h

ε-130 + デジタル補正レンズ + D810A
合計露光時間:4h

ε-130 + デジタル補正レンズ + EOS M5 (HKIR)
上下2枚モザイク合成 / 総露光時間: 3 hour

 

所々に感じる設計の古さ

しっかり調整すると素晴らしい星像を見せてくれるこの鏡筒。

そうはいっても1980年代の鏡筒なので、ところどころに設計の古さがあります。。。

 

副鏡を支える丸棒スパイダー

丸棒スパイダー
  • 現行品は丈夫な羽根式を採用しているのに対して、旧型では丸棒式です。丸棒式のスパイダーは撓みやすいと聞いたことがありますが、個人的に撓みはほとんど気になったことはありません。
  • 鏡筒部分から突出しているスパイダー位置調整用のネジ。調整の際に誤って回してしまうと、その後の光軸再調整が迷宮入りする場合があります。
  • ε-130はスパイダー交換ができないようです。ε-160やMT-160は一時期メーカーで交換してくれたそうですが。。。

 

斜鏡

斜鏡の分解写真

写真中央右側に見えるネジの頭

斜鏡は艶消し塗装された筒 (分解写真: 右) に格納されており、上からアルミの型 (分解写真: 左)で押しつけるように固定されています。このアルミの型を固定しているのが写真の黒いネジ。この出っ張りが星像に影響を与えそうで、若干不安材料。

現行のε-130Dではこのネジは撤廃されています。

斜鏡を支える2本の爪

斜鏡先端には鏡が落ちないように爪の支えがあります。これは斜鏡の構造上、なくてはならないものになっています。しかしながら、あらぬ方向にヒゲを生やした星像となってしまいそうなのがすこし残念。この抑えヅメも現行機種では撤廃されています。

 

主鏡の光軸調整ネジ

主鏡の光軸調整ネジ
  • ご覧の通り、ネジが鏡筒面から飛び出してしまっているため、ケースへの収納・運搬の際にうっかり触れてしまって光軸が狂うことがあります。また、この面を下にして鏡筒を立てるのも少し躊躇われます。
  • ただ、このネジに関しては良い点もあります。ある程度までであれば「手回しで調整ができる」点です。特に光軸調整に慣れないうちは、ネジを回しまくっているうちにだんだん感覚が掴めてきて、光軸への理解が深まります。
  • ネジとは関係ないですが、裏面の黒い部分はすぐ裏が主鏡になっており、触ると主鏡位置がずれます。鏡筒を軽くゆすったり、叩いたりするだけでも光軸がずれることがあり、結構難儀しました。

 

おまけ

かつて自分が直面した困難を記しておきます。

光軸ズレ時の画像

光軸が合っていない状態での星像をお見せします。遠征先で最もテンション下がる「光軸ズレ」です。

バラ星雲
ε-130 + デジタル補正レンズ + EOS Kiss X2 (誠報社改造)

続いて切り抜き画像。

星の形状が栗型🌰になっています。星像もなんかぼやっとした感じ。ピントもずれてたのかもしれません。

なお、左と下の辺が黒くなっているのはコンポジットによるズレの影響です。

 

主鏡圧迫時の画像

主鏡圧迫は、主鏡を留める3点のネジを強く締めすぎた時に起こる現象で、星像が "おにぎり" になります。

ある方が言っておられました。主鏡はこんにゃく

主鏡セルを振ってカタカタ音が鳴らない程度に、優しくネジ締めをしましょう。

ちなみに、主鏡を留める3点のネジとは、これのことです(赤い矢印)。主鏡セル裏側の光軸調整用ネジとは異なります。

主鏡セルと主鏡固定ネジ (赤矢印)

主鏡圧迫時に撮影した、M81の切り抜きです。見事な三角形となった星々。

主鏡圧迫による恒星像
ゴースト

写真は8mほど離したスマホライトをD810Aを使って撮影したものです。また、8mでは距離が短すぎて像を結ばなかったので、カメラと鏡筒の間に接写リングを挟んで撮影しました。盛大にゴーストが出ています。。

部で所有しているこの個体だけの現象なのか、そうではないのか定かではありませんが、内面で何か反射しているのでしょう。

個人的には、青い大きなゴーストが鏡筒内面反射、光源の左側にある楕円状のゴーストがTリングの内面反射だと思っています。

今のままの状態では、馬頭星雲やクラゲ星雲、サドル付近などの明るい星を含む対象は撮影が厳しいと思います。

 

スパイダーの調整

前述の通り、スパイダーの固定ネジは鏡筒から出っぱってしまっているので、初心者の方は光軸調整に必要だと勘違いしてここを触ってしまうことがあるようです ( <= 過去の自分もそのひとり)。

それ以外の場合でも、何かの拍子にずれてしまった、光条がどうしても合わないということがあるかもしれません。あまり参考にしてほしくはありませんが、一応情報共有ということで。。。

  1. 主鏡・斜鏡の順で取り外します。その後、シャープペンシルでスパイダーの延長線を書きます。この交点がスパイダー金具の中心になります。( 斜鏡のオフセットがよくわかりますね。)
  2. 鏡筒側面からスパイダー金具中心までの距離を正確に測ります。自分は100均の定規で0.1mmの精度で測りました。
  3. 長さに合わせて、側面のネジをじわじわと調整します。全てのスパイダーの長さが均等になったら調整終了です。

( 触るな!と書いてありますが、書いたのは自分なので問題なし笑 )

以上、自分の場合はこの方法でかなり改善されました。どうしてもの場合は試す価値があるかもしれません。タカハシのMT系、旧型のイプシロン系ではこの方法が使えると思います。SW社のBKP鏡筒とかだとスパイダーが薄いのでちょっと微妙かな。。。R200SSはスパイダーの調整機構がないので、そもそも不可な気がします。

 

薄膜化したメッキ

一時期、多湿な環境に晒された歴史があるらしく、主鏡を裏面から照らすとカビ跡がびっしり。カビと一緒に、薄くメッキを剥がしてしまったようです。傷もいっぱい。

今のところ写りに影響はないですが、予算が余った時にでも再メッキに出して欲しいですね。。。

主鏡メッキの薄膜化。裏からのライトが透けている。

パッと見は全く問題ない主鏡。

 

最後に

おまけの項が長くなってしまいました。。。

ε-130 は発売から40年以上経っており、古い鏡筒という印象を受けている方も多いと思いますが、きちんと調整をすればとても良い性能を発揮してくれます。また、現行機種は納期がとても長い状況が続いていますので、運良く中古品と出会えた場合は購入を検討するのもアリ?と思っています。皆さんの機材選び、機材弄りの参考になれば幸いです。

2022年の振り返り、まとめ

自分はまだ10月くらいの心持ちでいましたが、気づけばもう年末。あっという間に寒さが身に沁みる季節。屋外ではダウンコートが手放せなくなってきました。

こう、寒くなってくると遠征行きたくなってくるんですよね。今週末も遠征行きた買ったけど、卒論の進捗が芳しくないので流石にパスかな。。。(ブログなんか書いてる場合やないやろ!笑)

 

 

写真で振り返る、2022

観測明けの天の川 [星の村天文台 (3月)]

3人で春の観測 [星の村天文台 (3月)]

明け空の富士と惑星たち [朝霧高原 (4月)]

朝霧で撮影した夏の天の川 [朝霧高原 (4月)]

へびつかい座のS字状暗黒星雲 [原村 まるやち湖 (5月)]

M81&M82 [原村 まるやち湖 (5月)] 

剣ヶ峰 中腹より望む [乗鞍畳平 (8月)]

畳平に沈む北十字 [乗鞍畳平 (8月)]

子を見守る母雷鳥 [乗鞍畳平 (8月)]

プレアデス星団と取り巻く分子雲 [天城高原 (10月)]

アメリカ星雲とペリカン星雲 [天城高原 (10月)]

馬頭星雲 [朝霧高原(11月)]

 

振り返ってみると結構な頻度で遠征してますね。

本当はいつも大変お世話になっているOBさんたちと一緒に、9月にも乗鞍遠征をする予定でしたが、生憎の天気で中止になってしまったのが残念でしたね。

来年は乗鞍遠征と離島遠征 (小笠原?)のために時間とお金とてるてる坊主作って準備しておきます  ᕦ(ò_óˇ)ᕤ

 

今年購入した機材

購入した機材2022 (一部)
  • D500
  • AF-S Nikkor 14-24 f2.8 G
  • Planar 50 mm F1.4 ZF
  • D810A 
  • 初代ナノトラッカー
  • LeoFoto LS 323 C
  • 90S 赤道儀用ケース
  • NEEWER 三脚用バッグ
  • トラスコ台車
  • タカハシ規格 AP赤道儀ヘッド (井戸端さん制作)

2年前の11月、山梨県に遠征した際、当時メイン機として使用していたD7200を落下・故障させてしまい、それ以来しばらくモチベ下がり気味で、メイン機無しの写活をしていました。

しかし、NikonからのD500の生産終了のアナウンスと同時に再びスイッチが入り、溜まっていた反動で色々買ってしまいました。反省。

ただ、どのカメラもレンズも、本当に買ってよかったと思っています。特に、D500は暗所でのAF性能、グリップの握りやすさ、暗闇で光るボタン等々、使っていてストレスを全く感じません。さすがフラグシップ機。

D810Aに関しては、数年後に黄色いあの子がやってくる予定になっているので、それを見据えての購入でした。これまでいくつか天体改造機を使ってきましたが、D810Aを使っていて何よりありがたいのは、センサー起因ゴーストの心配が不要なこと。これで、今までは避けがちだったオリオン三つ星付近や、アンタレス周辺などの領域を心置きなく撮影できると期待しています。

 

今年手放した機材

  • D3200 レンズキット
  • AF-S VR Zoom-Nikkor 70-300 f/4.5-5.6 IF-ED
  • AF Nikkor 85 mm f/1.8 D
  • Ai-S Nikkor 50 mm f/1.8
  • EOS M5 (HKIR) 一式

D3200は自分が購入した最初のカメラで、一緒にハワイにも行った思い出の品だったので手放すのは少し寂しかったですが、1年近くシャッターを切っていなかったのでドナドナしました。

50mm, 85mmに関しては普段の撮影では非常に使い勝手がよかったのですが、結局この焦点域だとzoom レンズやPlanarで賄えてしまい、かつ古いレンズなので天文にも不向きであるということで、手放しました。

70-300は、、、祖母の家に安置していたらカビが生えてしまった、、、猛省。個人的に、レンズにカビが生えたのは初めて。祖母が善意で新聞紙をかけて日当たりのない場所に移動してしまったようで、わずか半年ほどだったのですがあっという間でした。カビって怖い。来年はこれに変わるレンズを購入予定 (宣言)

機材量が増えてきたので、そろそろ防湿庫があった方が良さそうな気がしてきました。とは言いつつ、置き場がないので多分買えません。

 

さいごに

今年もたくさんの方にお世話になりました。おかげさまで、天文沼まっしぐらでございます。ありがとうございます笑

来年もtwitterなどを通して積極的にみなさんと交流していきたいと思います。

何卒、よろしくお願いいたします <(_ _)>""

 

残りわずかですが、良いお年を。。。

朝霧 弾丸遠征 (2022/11/26)

11/26, 27は3年ぶりに開催された大学の学祭があったのですが、夜晴れそうな予報が出てしまったので行っちゃいました。時間制限15時間の弾丸遠征です。(レンタカーのナイトパックの時間制限です笑)

 

学祭1日目が17:00に終わり、18:30には車借りて、機材をまとめて出発。

 

現地入りしたのは22:30ごろ。個人的に朝霧は3回目ですが、こんなに車がひしめき合っているのは初めてみました。テンション爆上げ。

車ひしめく朝霧と、忙しく撮影・観望する後輩たち

この日の機材は自分にしては珍しく、タカハシのFS-128をセレクト。というか、他の後輩が栃木にε-130を持って行ってしまっていたので。。。

1年生の冬以来、実に3年ぶりにこの "イチニッパ" を遠征で使用しました。

FS-128 + F6 Reducer + D810A + 90S

うへへ。最高。。。

 

と思っていたのも束の間、強風に煽られ鏡筒がまあ揺れる揺れる

ガイドも大暴れ。星像もこんな状態。

風に煽られ、クシャクシャになった星像

というわけで、FS-128での撮影は諦め気味で、ある方からお借りしているFOA-60Qでアイピースの見比べをしたり、広角で撮影したりしながら残りの時間を楽しみました。

翌朝の8時半には大学に戻り、解散。

 

遠征の成果

念願のFS-128による馬頭星雲
2022/11/26〜27 @朝霧高原
Telescope: FS-128 + F6 Reducer
Camera: D810A
Mount: Takahashi 90S(AMD-2N)
Guide: SS-ONE All-in-one-Guider
Exposure: ISO 1600 / SS 300 sec × 16

5時間も撮影したのに、使えたのははじめの1時間半のみ。

それにしては随分ノイズレスで綺麗な画像になったように思います。さすがD810A。

 

翌日の15時ごろには上記の画像が出来上がったので、少しだけ学祭2日目に参加したのち、OBと現役生が集まるコンパに参加してきました。


流石に疲れたw

ちなみに、今回の遠征の参加者は全員今年の夏の乗鞍で同行した後輩たち。どうやらこの乗鞍合宿が多くの後輩たちの着火剤になったらしい。当日に告知したにもかかわらず来てくれました。ありがたい。

つい半年前まで、大学の機材など見向きもしなかった後輩たちが、このたった数ヶ月間でみるみる成長している。いろいろあったけど、部活に関わってよかったと思った瞬間でした。