明け方に天の川が昇ってくる季節になってきました。
この季節、カメラの画角に対して対角線上に天の川を配置して星景写真を撮る方が多いと思います。
時には、フィルターを用いて。。。
そう、このフィルター。
この記事をお読みの方ならきっとご存じでしょうが、広角で星景写真を撮影する際には必須アイテムと言っても過言ではない、「リアソフトフィルター*1」。
そして、リアソフトフィルターといえば、LEEのSOFTシリーズ。
こちらの商品は大変人気・需要があったにもかかわらず、いつのまにかショップページから姿を消しています。
そのせいもあってか、現在は某フリマサイトなどで大変な高値で取引されています。時には1枚1万円なんて価格も。ちなみに、数年前の正規価格は4000円弱だった模様。
偶然定価以下の値段で入手してしまった自分としては、これらの商品に「SOLD」マークがついていると、大変心が痛みます。
ということで今回は代替え案として、予算200円 (税別) でソフトフィルターを自作しましたので紹介します。
格安かつ、10分もあればLEEのフィルターと同等のものが作れる (かもしれない) ので、皆様もよければお試しください。
リアフィルターとは
リアフィルターとは、レンズとカメラセンサーの間の空間に取り付けるフィルターです。取り付けの際には、レンズのリアフィルターホルダーを使用したり、粘着テープ等でレンズの枠に固定したりします。
また、一部の機種では、カメラボディにフィルターをはめ込むことができます (リンク貼っておきます)。
リアソフトフィルターは、後述する「星が放射状に延びる現象」が生じないため、星景写真で大変重宝されるフィルターです。
レンズ前面フィルターでの弊害
レンズの前面に取り付けるフィルターの場合、簡単に取り付け・取り外しができるというメリットがありますが、レンズによってフィルター径が異なる場合は取り揃えにコストがかかります。
また、前面フィルターで致命傷となるのが、広角レンズとの併用時に生じる「星が放射状に伸びる現象」です。
例えば、APS-C + 17mmで、KenkoのプロソフトンAを使用して撮影したのが以下の写真。
センサーが小さいのでわかりにくいですが、左上の明るい星 (デネブ) が楕円になっていることがわかると思います。
このような星伸びは、フルサイズで20mmを下回るような、いわゆる「超広角レンズ」で特に顕著になるという印象があります。
フィルター製作
準備するもの
- プラ板
- ラッカースプレー (無色透明)
以上です。どちらも100円ショップで入手できます。
作成方法
- プラ板の下に新聞紙等を敷く
- プラ板から0.5~1 mほど離れた場所からラッカースプレーを散布。
- 視界にかざしたときに、景色が若干にじんでいるかな?程度のソフト具合になったら完成。 (厳密には、スプレー粒子100粒 / 5mm × 5mm くらいの分布がよさそう)
簡単ですね。作業時間はわずか3分。乾かしの時間も5分あれば十分です。
スプレー散布時のコツは、プラ板にスプレーを吹き付けるのではなく、プラ板の上にスプレー粒子の雲を作るようなイメージで散布すると良いです。
完成したフィルターを斜めから見ると、こんな感じにザラザラして見えます。
加工面を触ってみると、ちょうどMOREBLUEの表面塗装 (梨地加工) と似たような感触でした笑
参考になるかはわかりませんが。。。
自分は、すでに6枚ほど自作していますが、手作業なので塗装ムラは確実に生じます。ただ、実際に使用するフィルターは直径4cmもあれば十分なので、塗りが安定している部分を選択的に切り取れば全く問題ないです。
むしろ、さまざま強度のフィルターが副産物として生じるため、撮影バリエーションが広がります。
自作フィルターは、ソフト効果の強度調整は自在ですし、十字線を書き込めば「ソフト&クロスフィルター」なるものも作れるでしょう。
また、簡単・大量・安価に作れるので、紛失しても精神的ダメージが少ないです。
検証
耐久性
水洗い、中性洗剤で洗う、レンズクロスで拭いてみる、を試しましたが、塗装が剥離したり破損したりすることはありませんでした*2。
まあ、問題ないでしょう。。。多分。(あくまで自己責任でお願いします~)
実写 (追尾撮影)
LEE No.3のフィルターと、今回自作したフィルターを比較してみました。
こちらの作例では、D810A + AF-S Nikkor 14-24mm 1:2.8G ED、24mm f2.8の設定で追尾撮影しています。
一見すると、どちらのフィルターで撮影したのか区別できません。これは想像以上のクオリティです。
デネブのみ拡大してみました。
若干ですが、LEE No.3のほうがソフト効果が強いようです。が、画像全体としてはほとんど差がありません。
14mmで撮影した作例は次の写真です。
これらの作例からも、自作フィルターは十分実用になるということがわかると思います。
注意点
LEEフィルターは厚みが0.1mmであるのに対し、今回使用したプラ板の厚みは0.2mmでした。
そのためレンズによっては、フィルターがリアホルダーに収まらない場合があります。
基本、薄くて透明クリアなプラ系素材であれば、今回紹介した手順でフィルターを作ることが可能だと思うので、使用用途に応じて適した素材を探してみてください。
まとめ
200円で自作できるフィルターを製作・検証しました。いかがだったでしょうか。
ソフト効果の強弱も調整できますし、発想次第ではこれまでになかったようなフィルターも生み出すことができると思います。
本当に簡単に製作できるので、ぜひ一度お試しください。