2022/10/29 国立天文台「三鷹星と宇宙の日 2022」に参加しました ( 太陽塔望遠鏡編 )

ちょっとだけ研究がひと段落し、溜め込んでいたブログを書き込んでおります笑

前回の記事の続編、僕がガイドの一部を担当した『太陽塔望遠鏡』または『アインシュタイン塔』に関して、その概要と公開イベントを通してみてきたものをここに記そうと思います。

 

アインシュタイン塔内部は一年に一度、このイベントの日にしか公開はしておらず、普段は外観だけを眺めることができる場所となっています。1968年に観測は終了しており、その後はあまり手入れされていなかったために、周囲は鬱蒼とした木々に囲まれています。

木々の中にひっそりと佇む 太陽塔望遠鏡。この日は快晴でした^^

建物自体は大正15年に完成したもので、その外観は完成当時からほとんど変わっていません。一見レンガ造りに見えるけども、外壁は東大の安田講堂と同じ「タイル張り」となっています。

アインシュタイン塔の全体像は以下の図のようになっています。絵心のなさがバレる、、、

太陽塔内部
塔部分の内側へ。。。

シーロスタットへ続く階段の途中では、カセグレン式反射望遠鏡の副鏡をみることができます。

太陽光が主鏡に当たって集光されているので、強烈に明るいです。空気中を舞う埃がキラキラした柱を形成するのできれいです笑

蜘蛛の巣もいい味を出しています(?)

太陽塔の副鏡。下に見えるのが主鏡。

内部の造りはコンクリート製となっています。これもほぼ完成当時のまま。

曲線的な手すりが美しい。

太陽塔内部。シーロスタット室へ続く階段
シーロスタット室

2枚の平面鏡を使って望遠鏡の主鏡に太陽の光を導く装置で、太陽塔の最上階 (地上4階)に位置します。

なぜこんな複雑な位置にシーロスタットを置くのかという理由はいろいろありますが、最も大きな理由が「地上よりも上層部の方が気流が安定していること」でしょう。要するに、大気の揺らぎを少しでも抑えるためです。

太陽塔望遠鏡のシーロスタット室

鏡の直径は65 cm。2枚とも日本光学 (現 Nikon)が製作しています。

写真手前側の鏡が地球の自転に合わせて回転する仕様になっていて、これによって常に望遠鏡に光を導き続けることができます。

右上の2枚目の鏡は傾き、高さを調整できるようになっていて、地下にある主鏡の位置から遠隔で操作が可能になっています。これを動かすと、太陽の見たい位置を調整して、その位置のスペクトルを取得することができます。

 

地下室へ。。。

コリメータレンズとプリズム

反射望遠鏡で反射された太陽光は、斜鏡によって地下室に導かれ、コリメータレンズ通過後にプリズムを通り、プリズム端面で反射されて、再度コリメータレンズを通って入射スリットの下にあるフィルム室へ投影されます。(ややこしい。。。)

昔の人たちはこうして太陽の詳細なスペクトルを得ていました。

地下室で見られるスペクトル

現在はフィルムは入れず、一般の方向けに白い紙を貼ってスペクトルを見せています。

実際はもっと暗くて、じーっと見ていないとスペクトルは確認できません。。。

太陽のスペクトル。フラウンホーファー線が詳細に見えますね。

詳細な同定はしていませんが、簡単にCDEF線は分かりますね。緑から青にかけての吸収線がすごく多い。。。
どうでもいいですが、Nikon D500の有感領域はこれくらいなんですね。ほうほう。。。
D810Aとの写りの違いも見てみればよかった。

 

地下室にはこれ以外にも太陽観測に関わる機材が多数展示されています。また、さらに奥には相当古い望遠鏡たちが安置されています。

古〜〜い望遠鏡たちの安置所。

以上、昭和の最先端の太陽観測を行なっていた太陽塔望遠鏡の紹介でした。

来年もおそらく国立天文台公開イベントをやると思いますので、ぜひ一度訪問してみてください!