2022/10/29 国立天文台「三鷹星と宇宙の日 2022」に参加しました ( 場内散策編 )

3年ぶりの開催となった、国立天文台三鷹のイベント、『三鷹星と宇宙の日 2022』に参加してきました。

国立天文台 三鷹

自分自身もこのイベントに参加するのは3年ぶりで、前回は一般の客として、今回はガイドボランティアスタッフとして参加しました。自分のガイド担当箇所は「太陽塔望遠鏡」。これについては後でじっくり語ります笑

 

自分の仕事のシフトは午後からだったので、午前中は場内をウロウロ。

例年であれば数々の売店や望遠鏡メーカーの展示、ライブイベントなど大変な賑わいがあります。

今年は入場制限や規模の縮小の影響で例年ほどの賑わいはありませんでしたが、抽選をくぐりにけてきたお客さんたちなだけあって、とても熱心な方が多かった印象です。

 

TMTの展示ブース

実際にTMTに搭載される主鏡の一部が展示されています。(写真撮るの忘れた、、、)

TMTは当初2021年完成予定でしたが、主にハワイ島現地住民の反対運動や、技術的な困難の影響で、現在では2027年の完成予定となっています。

スタッフの方に聞いた話だと、現地住民の方々とは折り合いがつきつつあるようで、話は着々と進んでいるようです。完成が楽しみ。

TMTブースで聞いた興味深い話。

  • TMTの鏡は492 枚あるが、一枚ずつ取り外して再メッキを行っていくんだそう。1日1枚ペースでメッキをしていったとしても単純計算で1年半。技術者は休む暇がないらしい。。
  • AO (Adaptive Optics, 補償光学)を使用せずに口径30 m の高分解能を最大限発揮するためには、床に1 Nの力がかかった時の振動も許されなくなるらしく、メカ設計が困難の極みらしい。特に、TMTは経緯台式のため、撮影の際には水平方向、垂直方向に加え、観測装置の回転も行う必要があり、より高速の追尾が要求される天の赤道付近の観測が非常に難しいらしい。

本当に観測限界に挑んでいるんだなと第三者の私はすごく興奮しましたが、当の開発陣は大変でしょう。敬意を表します。

(のちに調べた文献です。興味ある方はぜひ読んでみてください。)

tmt.nao.ac.jp

国立天文台反射望遠鏡の際メッキに関する記事

 

ALMAの展示ブース

ここではポスター展示をしていました。3年前、野辺山の一般公開イベントでいただいたのと同じファイルをいただきました。これで4枚目笑

ここでもスタッフの方とお話しさせていただきました。

  • 電波望遠鏡は複数の望遠鏡との電波を干渉させることで情報を得ている。ALMAでは地下に膨大なネットワークが組まれており、望遠鏡同士を結んでたくさんのベクトルを作ることでその方向成分の干渉の情報を得て、フーリエ変換の原理を使ってイメージングを作成するんだと。残念ながら、自分には全く理解できそうにありませんでした。
  • EHT (Event Horizen Telescope)もデータ取得後、最終的なイメージが得られるまで5年以上の歳月がかかったそうです。皆さん、あのオレンジ色のブラックホール画像は研究者たちの努力の賜物ですよ!
  • www.nao.ac.jp
  • 電波干渉計ではイメージング(X,Y座標の情報)の他に、スペクトルデータも得らるので3次元の情報を持ったデータとなっており、解析が大変なんだとか。

同じく3次元データである、面分光データの解析手法の開発をしているすごい先輩が身近にいるので、ALMAでの話はすごく親近感が沸きました。データ解析って大事ですね。勉強しなきゃ。

 

すばる望遠鏡展示ブース

ここでは常設展示ブースでの説明と、CDを用いたスペクトル分光装置の製作コーナーがありました。

すばる棟の展示コーナー

もちろん、私も分光装置作りましたよ。4~5歳くらいの子供たちと一緒の机に並んで。

切り抜き線に沿って厚紙を切り抜いて、ホッチキスで留めて箱を作りCDを滑り込ませるだけと、実に簡単に作れました。

 

実際に水銀灯や蛍光灯、白熱電球、LEDなども分光装置で覗かせてもらいました。個人的には、回折格子を使った分光装置よりもコントラストの高い像が見えるような気がしました。太陽付近の空を見るとフラウンホーファー線も見えます。

※ 目に悪いので直接太陽はみないでくださいね !

蛍光灯のスペクトル

水銀灯のスペクトル

ポスター展示にはすばるで開発中のPSF (Prime Focus Spectrograph)に関する内容がありました。もう試運転でイメージ取得まではできているそうなので、あとはすばるの主焦点に搭載するだけでしょうか。自分が高校生だった頃にちょうどPSFのプロジェクトが動き出したので、今後の進展が非常に楽しみです。

 

本記事の最後に戦利品を。

左から、CD分光器、TMTシール、ALMAファイル

 

ブログのことほとんど意識していなかったので、文章メインになってしまいました。すみません。。最後まで読んでくださりありがとうございます。

次回は自分の担当した太陽塔望遠鏡に関しての記事です。